やっと読みました。一気に読んでしまった。女性をとりまく環境の描写が自然で的確で、それが高い評価を得ている理由のひとつなのだろうと思いました。言葉でうまく表現できないけれど存在する、日常のさまざまな違和感が淡々と積み重ねられています。わたしは本を読む時、必ずしも作品に共感は求めないのですが、この作品は自分や母と重ねることが度々ありました。本の人物と全く同じ状況ではなくても、ふと自分の経験を振り返ることが多かったです。
恥ずかしいことに韓国の文化について知らないことが多く、読みながら「えっそうなんだ!」と知ることもいくつかありました。冒頭の2行目から、早速私が知らなかったことが出てくるのですが、日本と同じく家父長制の強い国だと思うので、ちょっと意外。今後調べてみよっと。
この榎本マリコ氏の表紙絵、素敵ですよね。ひとりの人物を印象付ける顔のパーツを描かないのも、全体の色のトーンは明るいのに、顔の中に乾いた空間が広がっているのも、作品の内容からして、いいなと思います。
物語の終わり方がリアルで、なんとも言えない気持ちになります。男性にも読んでほしい。