毎週金曜日の夜は、NHKラジオ第1で高橋源一郎氏の夜の学校。
「ひみつの本棚」は、村山由佳氏の『風よ あらしよ』。私、恥ずかしながら伊藤野枝のことを知らなかったし、アナキズムが自由と自立を重んじる思想だと考えたことがありませんでした。「アナキズム=無政府主義」というぼんやりした言葉しか浮かばなくて、それを自分ごとに捉えたことがなかったのです。
高校の時、歴史の先生が「自分はアナキストだから」と言ったのがとても記憶に残っていて、でもその時どういう意味かは聞けなくて。その時からこの授業を聞くまで、相当時間が過ぎていますが、ラジオを聴いていて「私ってアナキスト目指してるのかも?」と思いました。
「きょうのセンセイ」は、ライターのブレイディみかこ氏。『他者の靴を履く アナーキック・エンパシーのすすめ』は、まさに私が最近気になっていることへのブレイディ氏の見解が書かれていると思ったので、予約しようっと。
エンパシーという言葉は使われていないのですが、J. K. ローリング氏のこのハーバード大学卒業式でのスピーチはイマジネーションの重要性を語っていて、エンパシーに近いことを伝えていると思っています。ローリング氏が語るイマジネーションは、ハリーポッターを生み出すような創造性のことではなくて、他者を思いやる想像力のことを言っていて、私はおおいに共感するところでした。でも最近のローリング氏の言動は、必ずしもこのスピーチの内容とは一致しなくて意外に思ったと同時に、想像力の限界も意識してしまって。(今このスピーチを聞くと、私はちょっと微妙な気持ちになるジョークも入っていますし)
「自分がされて嫌なことは他の人にしない」ではなく「自分がされて嫌なことを他人にしないだけでなく、自分はいいけど他人が嫌だと言うことはしない」というか、自分の想像力って限界がありそうなので、想像力を超えたところにいる他者のことも、あるがままを尊重する人間でありたいけれど、それを自分はできているだろうか、と考えることがあります。でも、差別を許容することはできないから、なんでも尊重するのも違うし、とか。だからお話から「他者の靴を履く時があっても、私の私の軸は持つことが大切だ」と受け取りましたが、本当にそうだなと思います。
次回は翻訳家の柴田元幸氏とのことで、楽しみすぎる。
放送はこちらで聞けます。(2020/6/11 PM9:55まで)
『エンパシーの闇落ち』は、この本かな。