もう一度読みたい『エデュケーション 大学は私の人生を変えた』

エデュケーション 大学は私の人生を変えた

先日、第164回直木賞の候補作を愛でましたが、候補作のひとつが伊与原新氏の『八月の銀の雪』でした。素敵な表紙だったので、装画を手がけた草野碧氏のwebサイトを拝見していた時に、この本『エデュケーション 大学は私の人生を変えた』を見つけました。昨年11月に出版されて、表紙絵を草野碧氏が手がけているのですね。原書と並べてみると、なんだか姉妹みたいで素敵です。

原題は “Educated: A Memoir” で、私は以前Audibleで聴きました。聴きはじめた理由は、New York Timesで長ーいことノンフィクションのランキングに入っていて、気になって日本語訳が待てなかったから。ミシェル・オバマ氏の自伝や、同じくNew York Timesでフィクションのランキングに載っていた『ザリガニの鳴くところ』も聴きましたが、この “Educated: A Memoir” が一番強烈に印象に残って、聴きごたえがありました。

著者のタラ・ウェストーバー氏の自伝で、モルモン教徒の非常に特殊な家庭で育ち、父親の方針で教育は学校ではなくホームスクール、病院は禁止、兄弟からの暴力など、その環境にまず驚かされます。また、そういう興味で聴くってちょっと自分が浅ましいと思ったのですが、大きな怪我の描写などわりと衝撃的なことが出てくるので、「えっ?えっ?」とびっくりしながら聴いていました。歴史の授業で絶対出てくるだろう史実を知らなくて、周囲に「わざと知らないふりをしているなら相当悪趣味」みたいに引かれてしまうエピソードが強く印象に残っています。

そうした私自身の子ども時代との違いには驚きましたが、著者の母と娘の関係には自分にも重なるところがあり、特異な環境の中に普遍的な親子の関係性が垣間見えることが、ベストセラーとなった理由なのかなと思いました。また、教育についても考えさせられました。

ところでAudibleって、私はまだ数冊しか体験していないのですが、朗読の声が自分の好みに合えば、音で本を楽しむのもいいな!と思っています。ただ、どうしても「ながら聴き」になってしまい、意識が他に移って本の内容が飛んでしまう時があります。また、永遠の英語学習者である私が英語の本を聴く場合、わからない単語が出てきた場合に自分でメモするしかないこと、あとで「あの部分もう一度聴きたい」という時に探しづらいことがデメリットかなと思います。

そんなわけで、ちゃんと読みきれていない部分もあると思うので、日本語訳でもう一度読みたいと思っています。

日本語

エデュケーション 大学は私の人生を変えた

エデュケーション 大学は私の人生を変えた

Kindle版

タラ・ウェストーバー

出版 早川書房

翻訳 村井 理子

装画 草野 碧

2020.11.17

英語

Educated: A Memoir (English Edition)

Educated: A Memoir (English Edition)

Kindle版

Tara Westover

出版 Random House

2018.02.20